研究課題
【研究目的】本研究はヒト若年者に発症する悪性軟部腫瘍である滑膜肉腫の発生メカニズムを明らかにし、なおかつ治療法の開発を試みるものである。具体的には原因キメラ遺伝子SYT-SSXの機能解析を行う。【方法および成果】平成17年度までの研究により、SYT-SSXとクロマチンリモデリング因子が実際に結合していることをMALDI-TOF-MASS解析にて証明し、またSYT-SSXとヒストン蛋白との結合の有無を検討し、Histon H2Aのある1つのサブタイプとが結合する事を見出していた。本年度はこれらの結果に基づき、ヒストンメチル化酵素であるSUV39がSYT-SSXに結合し、cyclinD1の発現量を増加させることを見出した(投稿準備中)。また、SSXがcyclinD1のpromoter活性を誘導するかを検討したところluc assayのレベルでは誘導しないことから、蛋白のubiquitin化による制御機構の有無を検討してきて現在解析中である。さらに、SYT-SSXによって誘導された滑膜肉腫細胞はHGF反応性に増殖することが示されており、我々はそのメカニズムを検討したところ、シグナル伝達アダプター分子CRKが癌化に必要であることが示された。特に大腿部への腫瘍細胞の注入を行ったところCRKノックダウン細胞ではほとんど目立った腫瘤形成は見られなかった。この結果は本年度英文雑誌に掲載された(Watanabe, T., et al. Mol.Cancer Res. 2006)。
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