前年度、ヒトCD40の細胞外領域および膜貫通領域にマウスRANKの細胞質領域を融合させたキメラ受容体(h40/mRK)による破骨細胞形成実験系を確立し、それを用いた実験結果から、RANKの細胞質領域の特定部位にTRAF6シグナルを増強する因子が作用するか、その特定部位が直接TRAF6シグナルを増幅するという仮説を提唱した。今年度は、このシグナル増幅に関与する特定部位の同定及びその作用機構を解明することを目的に、種々の欠損変異を導入したキメラ受容体の機能解析を行った。その結果、TRAF6結合配列以外の種間で強く保存された特定領域を欠損させると刺激依存的なNFkBやMAPKの活性化が正常に起こるにもかかわらず、NFATc1が発現誘導されず破骨細胞も形成されないことが明らかとなった。またこの特定領域を含んでTRAF6結合配列を含まないRANK細胞質領域の一部をCD40の細胞質領域に融合させると破骨細胞の形成能を獲得することが明らかとなった。これらの結果は、この種間で保存された領域が先に仮説で提唱したTRAF6シグナル増幅を担う部位を含むこと強く示唆している。RANK/RANKLの結合によりNFkBやMAPKの活性化に加えて、この特定領域からの未知シグナルがTRAF6を介して何らかの機構により他のITAMモチーフを持つ膜受容体に作用することにより、Ca2+濃度の変化が起こりNFATが活性化されると考えられる。
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