研究分担者 |
鄭 雄一 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (30345053)
川口 浩 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (40282660)
中村 耕三 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60126133)
松原 全宏 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (40361498)
|
研究概要 |
SOXトリオの上流および修飾分子同定のため、インスリン刺激に反応して軟骨分化するマウス細胞株ATDC5に、SOXトリオ反応性エンハンサーを直列につないでシグナルを増強したII型、IX型コラーゲンプロモーターをレポーター遺伝子と組み合わせ、安定導入した。レポーターとして、蛍光蛋白・ブラストサイジン耐性遺伝子の2種類を用意した。インスリン刺激下で特異的にレポーター遺伝子が活性化されるクローンを選んでレトロウィルス発現cDNAライブラリーを導入、軟骨分化陽性細胞クローンを選別し、導入cDNAを同定した。その結果GFPと薬剤をレポーターにした複数の陽性クローンに共通する新規軟骨分化因子を同定しnovel chondrogenic factor 25kDa (NCF25,仮称)と命名した。NCF25はレトロウィルスによる安定導入でATDC5や間葉系幹細胞に軟骨マトリックス遺伝子を誘導し、プラスミドやアデノウィルスによる一過性の強制発現ではSOXトリオによる軟骨分化を増強する。 ヒト間葉系幹細胞へのSOXトリオ強制発現系に対してマイクロアレイを用いた発現プロファイリングを行った結果、発現に差異を認めた遺伝子が603個存在した。Real Time PCRによる確認の結果、SOX単独ではなくSOXトリオに特異的に発現誘導される遺伝子として、SCRG1,LOXL3,PPYR1,TRIM48,PTGER3など機能既知、未知を含め多彩な分子が確認されたが、これらのうちもっとも発現誘導が強かったのはS100A1,S100Bの2遺伝子であった。未分化軟骨細胞株ATDC5への強制発現系とRNAiによるノックダウンの系を用いた検討では、これら2遺伝子が軟骨細胞の肥大分化・石灰化の抑制に対し中心的な役割を果たしている可能性が示された。
|