研究課題
軟骨前駆細胞から軟骨細胞への分化を促進する因子を同定するため、軟骨分化過程において強く発現する遺伝子を検索した。ラット胎児筋肉由来間葉系細胞を採取し、diffusion chamberに入れ、その上下を0.45μmの穴が開いたニトロセルロース膜で上下を閉じた。この状態はでは細胞は出入りはないが、栄養の行き来は可能であるために、細胞は生存する。そのchamberをラットの皮下に移植する。あらかじめchamber内に骨形成蛋白(BMP)-2を添加すると軟骨が形成されるが、BMP-2無しだと軟骨は出来ない。この実験系での遺伝子発現をDNA chipで網羅的にしかも経時的に解析し、BMP投与群で非投与群に比べて早期から発現の高い遺伝子を選択した。それらの中から発現の高い順に転写因子を20個選び出した。軟骨に分化するATDC5細胞に、それら20の転写因子のsiRNAを導入することによりこれらの転写因子の発現を抑制して、軟骨マーカーであるアグリカンの発現を低下させる作用の強い遺伝子を調べた。アグリカンの発現が強く抑えられる転写因子が軟骨基質発現に強く関与すると考えられる。アグリカンの発現低下は15個の転写因子で認められた。これらは軟骨分化に大きく作用しているため、阻害するとアグリカンの発現が低下したと考えられた。今後、これらの遺伝子を強制発現させたときの軟骨分化促進作用の有無、あるいはそれらの転写因子が軟骨分化促進する細胞内情報伝達系を明らかにする予定である。
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J Clinical Neuroscience 13
ページ: 250-256
Acta Orthop In press
J Tissue Engineering Regenerative Medicine In press