研究概要 |
基礎実験として、骨肉腫細胞株の細胞株を樹立した。16歳女性の大腿骨骨肉腫より生検時に採取した組織を継代培養し106代まで培養した。培養後の細胞株は、5匹ヌードマウス皮下に接種することにより、すべてのヌードマウス皮下に腫瘍塊を形成し、その組織は、元の骨肉腫組織と同様に骨形成型の骨肉腫であった。このヒト骨肉腫細胞株の様々な成長因子やサイトカインの遺伝子発現を解析した。その結果、本細胞株はstem cell factorおよびその受容体であるc-kitを遺伝子発現しており、さらに免疫学的検討により、それらの蛋白発現も認められた。また、既存のヒト骨肉腫細胞株MG63、KHOSについては、PDGF受容体、c-kit、VEGFおよびVEGF受容体(FLT1,KDR,FLT4,NRP1,NRP2)の遺伝子発現を解析した。MG63はPDGF受容体、c-kitともに発現を認めなかった。一方、KHOSはPDGF受容体の発現を認めたが、c-kitの発現は認めなかった。VEGPおよびVEGF受容体については、MG63はVEGFの発現を認め、VEGF受容体は5種類中4種類の発現を認めた。一方、KHOSはVEGFの発現を認め、VEGF受容体は5種類中3種類の発現を認めた。 臨床試験の予備基礎追試実験として、ヌードマウス皮下に骨肉腫細胞由来細胞株を接種した腫瘍モデルを作製した。使用した骨肉腫細胞由来細胞株はヒト骨肉腫細胞株MG63およびラット骨肉腫細胞株ROSである。ヌードマウス皮下にこれらの細胞株を接種し、腫瘍塊を形成させた後、Ad-OC-TK (Herpes Simplex Virus-Thymidine Kinase遺伝子をOsteocalcinプロモーターにより制御発現させるアデノウイルスベクター)を実験モデルの腫瘍塊病巣内に局所投与した後に、バラシクロビルを経口投与する実験系を作製した。
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