研究概要 |
基礎実験として、我々が樹立したヒト骨肉腫細胞株KTHOSおよび既存のヒト骨肉腫細胞株MG63、KHOSについては、VEGFおよびVEGF受容体(FLT1,KDR,FLT4,NRP1,NRP2)の遺伝子発現を解析した。MG63はVEGFの発現を認め、VEGF受容体は5種類中4種類の発現を認めた。一方、KHOSはVEGFの発現を認め、VEGF受容体は5種類中3種類の発現を認めた。これらの細胞株にVEGF受容体に対するinhibitorであるPTK787を作用させたが、細胞増殖には、本阻害剤は影響を与えなかった。また、悪性腫瘍30例(骨腫瘍12例、軟部腫瘍18例)、良性腫瘍30例(骨腫瘍14例、軟部腫瘍16例)の生検術時に採取した組織を用い、RT-PCR法にてVEGF165,121及びVEGF受容体であるVEGFR-1(flt-1)、VEGFR-2(KDR/flk-1)、のmRNAの発現について調べた。免疫染色法にて、VEGF及びflt-1とKDR/flk-1のタンパク発現についてスコア評価した。同じく免疫染色法にて、CD34で血管内皮を染色し腫瘍組織のMVD(microvessel density)を測定した。結果、RT-PCR法、免疫染色法でflt-1、VEGFの発現は良悪性で有意な差は認めないが、KDR/flk-1は悪性腫瘍において有意に発現率が高かった。また、血管新生に関しては、MVDがKDR/flk-1とVEGFの発現と相関性を示し、flt-1の発現とは相関していなかった。骨肉腫cell line 3例,MFH cell line 4例,生検術時に採取した悪性骨軟部腫瘍組織14例,良性骨軟部腫瘍組織6例を使用し,apoptosisに関与するデコイレセプターであるDcR3の発現について検討した.DcR3の発現率はRT-PCRで悪性腫瘍(組織)は14例中11例で78.8%,良性腫瘍(組織)は6例中3例で50%であった.悪性腫瘍cell lineは7例中7例で100%であった.蛋白としての発現を確認するため,cell lineでwestern blottingを行ったが7例とも全例で発現を確認できた.Positive controlとしてcolon adenocarcinoma(SW480)を用いてreal time PCRを行った.悪性腫瘍(組織)はSW480を1として2.41であり,良性腫瘍(組織)は1.24であった.悪性腫瘍cell lineは0.296であった. 臨床試験の準備として、臨床試験に使用するAd-OC-TKを株式会社ジーンメディスンジャパン保有の細胞培養センター(CPC)を使用し作成した。
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