研究概要 |
基礎実験として、我々が樹立したヒト肉腫細胞株(TNMY1)および既存の細胞株(Nara H、Nara F、GBS-1)を用い、VEGF受容体に対するinhibitorであるPTK787による、細胞増殖能、浸潤能、血管新生阻害効果を調べた。VEGF細胞増殖能については、PTK787による細胞増殖抑制効果は認められなかった。細胞浸潤能についてはNara Hのみで抑制効果を認めた。血管新生については、PTK787による4細胞株全てで阻害効果を認めた。次に、apoptosisに関与するデコイレセプターであるDcR3のsiRNAを用いた抑制実験では、siRNAによるDcR3のknock down効果は、骨肉腫細胞株の方がMFH細胞株に比べ、蛋白レベルで強く認められた。そこで骨肉腫細胞株を用いてFasL, adryamycinでの刺激を行なった。siRNA+FasL群はcontrol siRNA+FasL群と比べTUNEL positive細胞の有意差は認めなかったが、siRNA+FasL+adriamycin群はcontrol siRNA+FasL+adriamycin群と比べ有意にTUNEL染色陽性細胞が多く、apoptosisを誘導した。さらに、apoptosisに関与するスフィンゴシン-1-リン酸(S1P)のGタンパク共役型レセプターであるEDGレセプターの発現を、骨肉腫を含む悪性骨軟部腫瘍組織24例で、RT-PCR法を用いて検討した。結果は、高悪性肉腫では、EDG1,3,5が高率に発現していたが、低悪性肉腫ではEDG1,3,5が有意に低かった。また、EDG receptorのリガンドであるS1Pの律速酵素であるSPHKの発現は、SPHK2が低悪性肉腫に有意に、高発現していた。一方、SPHK1は低悪性と高悪性肉腫間に発現の差は認めなかった。 臨床試験に使用するAd-OC-TKを株式会社ジーンメディスンジャパン保有の細胞培養センター(CPC)を使用し作成し、その品質検査を行った。
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