手術中に採取されたヒト椎聞板髄核細胞を同一固体の骨髄間葉系幹細胞との細胞間接着を伴う共培養法で活性化する有効性と安全性を過去4年間で示してきた。本年度は活性化終了後の腫瘍化に関して免疫不全マウスへの皮下移植後最低5ケ月以上の経過観察を行った。 さらに、本学cell processing center(CPC)内での細胞培養に関する受け入れ時、工程管理時、製品完成時(髄核細胞活性化完成時)の細菌、マイコプラズマ、エンドトキシン、ウイルスなどの感染否定試験のプランニングと細胞活性の指標化に関する研究を行った。 結果:(1)活性化髄核細胞は免疫不全マウスの皮下で、療痕形成は一部で見られるが、腫瘍化、著明な炎症所見などは一切みられず、細胞組織としての安全性が確認された。これは昨年までに検索してきた活性化後の髄核細胞に染色体異常などが一切見られないことと相関している。(2)学内の安全性管理室の立ち上げによる細胞培養過程における感染症管理のシステムが完成し、外注ではなく上記項目の検索が可能となった。このCPC内での各工程時におけるサンプリングの試行で、感染所見と同定されるデーター、所見は一切見られず、CPC内での細胞操作技術が安定したものと判断した。また細胞の品質管理における細胞活性の状態に関して、FACsを用いた細胞のソーティングで、椎間板細胞(特に髄核細胞)に含まれる細胸種類の新しい区分けが行えたことから、このデーターを基礎とした活性化髄核細胞の細胞活性度の測定指標を提案することができた。
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