研究概要 |
関節リウマチ(RA)患者の軟骨及び滑膜を用いたDNAマイクロアレイ(Affymetrix社,HG-U133set)により健常対照に比し有意な発現の差を示したmRNAのうちgenome scanでの陽性領域上(1p32-1p36,1q32-1q42,2q34-2q35,3q27-3q29,4q13-4q24,5q11-5q14,6p22-6p25,6q15-6q23,8p22-8p23,9q33-9q34,12p11-12p12,14q13-14q24,16p11-16p13,16q12-16q23)に位置する83遺伝子をRA原因遺伝子の最重点候補遺伝子とし、遺伝統計解析を行った。その結果9遺伝子上の一塩基置換多型で有意な差を認めた。これらの遺伝子はRAにおける疾患原因遺伝子である可能性が高い。 また本研究課題遂行の過程で多くの既知の疾患感受性遺伝子の追試を行った。この結果、日本人は白色人種におけるRAの遺伝的背景と必ずしも一致しないことが明らかとなった。例えば白色人種においてHLA領域外で最も関連が確からしいと考えられている遺伝子はPTPN22だが、日本人では全く関連が見られなかった。これに対し日本人で強く関連しているPADI4は白色人種では弱い関連しか認めないことが明らかになった。その他、日本人ではFCRL3、CTLA4のRAとの関連を追認できた。この結果は今回新たに同定した9つの疾患感受性遺伝子と合わせ、日本人RA患者における遺伝背景の全容解明に向けた大きな成果である。
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