研究課題/領域番号 |
16390446
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
中村 利孝 産業医科大学, 医学部, 教授 (50082235)
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研究分担者 |
酒井 昭典 産業医科大学, 医学部, 助教授 (90248576)
沖本 信和 産業医科大学, 医学部, 助手 (70330991)
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キーワード | 骨 / 骨芽細胞 / アポリポプロテインE / オステオカルシン / 高脂質食 / 過酸化脂質 / アポトーシス / p53 |
研究概要 |
本年度は、アポリポ蛋白E(Apo E)ノックアウトマウスを用いて、高脂血症による骨形成低下におけるApo E遺伝子の役割を明らかにすることを目的に研究を遂行した。雄性4週齢のApo Eノックアウト(KO)マウス及び野生型マウスを用いて、標準食投与群と高脂肪食投与群の2群ずつ、計4群を作成した。12週間の飼育後、骨検体を摘出しで解析した。 Apo E KOマウスでは血清low-density lipoprotein(LDL)値が有意に上昇しており、高脂肪食投与でさらに有意に上昇した。血清LDL値の上昇は、Apo E KOマウスにおいても野生型においても、海綿骨の骨梁表面における骨形成率(bone formation rate)および骨髄細胞におけるオステオカルシンの発現(骨芽細胞の最終分化)を抑制した。Apo E KOマウスにおいて、皮質骨内骨面および海綿骨の骨形成率は血清LDL値と強い負の相関を示した。Apo E KOマウスにおける骨髄接着細胞のp53遺伝子の発現は、血清過酸化脂質と強い正の相関を示した。結論として、血清過酸化脂質は骨髄接着細胞においてアポトーシスを誘導し、骨芽細胞分化と骨形成を抑制する。しかし、Apo E遺伝子はそれらの作用に対して防御的に働いていると考えられた。 過酸化脂質である酸化LDLの増加が血管内皮細胞を障害し、動脈硬化を惹起することが知られている。骨粗鬆症、高脂血症、動脈硬化はともにメタボリックシンドロームとして共通した発症メカニズムを有している可能性がある。次年度も引き続き、骨の形成と構造制御と脂質代謝の相互作用について解明を進めていく予定である。
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