研究概要 |
はじめに: 関節リウマチ(RA)の罹患関節部および骨髄中には、ナース機能を有する間葉系細胞(RAナース細胞)が存在する事を報告し、本細胞がRAの病態形成に深く関与する事を示唆してきた。RAナース細胞と単球の共培養により、ヒト破骨細胞前駆細胞が誘導され、炎症性サイトカイン(IL-1,-3,-5,-7,GM-CSF)で高度に破骨機能を有する成熟破骨細胞が分化し、RAにおける破骨細胞の特異性を示唆してきた。 目的: ヒト破骨細胞特異的遺伝子の探索を目的とした。 結果: 1.炎症性サイトカイン誘導破骨細胞(RA破骨細胞)とRANKL/M-CSF誘導破骨細胞(従来型破骨細胞)の相違:二種類のRA破骨細胞はMMP-12を特異的に発現している事を確認しているが、今回、RA患者の罹患部を用いた免疫組織学的検討から、MMP-12陽性破骨細胞が50-10%存在する事を確認した。 2.破骨細胞特異的遺伝子の網羅的探索:RAナース細胞によるヒト破骨細胞前駆細胞の純粋培養系が確立され、ヒト破骨細胞誘導系の全てを試験管内で操作する事が可能と成った。破骨細胞前駆細胞、RA破骨細胞、従来型破骨細胞の夫々に特異的に発現する遺伝子について、二種類のSubtraction法(IRDA法・SSH-RDA法)、さらに、DNAチップ解析により発現プロファイルの検討を行なった。Subtraction法によって、破骨細胞に共通し特異的に発現する二つの新規遺伝子OC89,7-44を選択した。また、DNAチップ解析によって、RA破骨細胞に特異的発現する25種類の遺伝子を確認した。以上から、RAナース細胞により誘導された破骨細胞前駆細胞を経由する二種類の破骨細胞が存在する。RA破骨細胞は、従来型破骨細胞と異なる遺伝子発現があることが確認された。 考察: ヒト破骨細胞の多様性とRA病態を説明し得る破骨細胞の分化機構が明らかとなった。
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