研究課題/領域番号 |
16390448
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
島田 康弘 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 教授 (50028669)
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研究分担者 |
石川 直久 愛知医科大学, 医学部, 教授 (80109321)
西脇 公俊 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (10189326)
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キーワード | ARDS / 神経原性肺水腫 / 血管透過性 / 血管新生 / 内皮細胞増殖 / neuropeptide Y / NPY Ya-受容体 / Abelson tyrosine kinase |
研究概要 |
呼吸窮迫症候群(ARDS)をはじめとする肺水腫が関与する疾患では、肺血管透過性亢進が生じておりその発生機序の解明は診断治療に重要である。血管透過性亢進の機序は、血管内皮細胞のtethering forceおよびcontractile forceの2つの要因が関与している。Protein kinase C (PKC)やCaがそれぞれの要因における細胞内情報伝達経路である。従来、交感神経系が中枢性肺水腫発生に強く作用することから、その神経伝達物質の血管透過性に及ぼす作用について検討してきたが、唯一neuropeptide Y (NPY)が透過性元進を引き起こすことをこの研究グループが明らかにしてきた。本研究では、NPYの血管内皮細胞の増殖に及ぼす影響を調べ、さらに細胞内情報伝達系経路が血管透過性亢進のメカニズムと一致する点と異なる点を明らかにすることを目的とした。 血管内皮細胞増殖に対してNPYは増強作用を示し、高濃度域では、ハイポキシアで増殖作用が強く正常酸素分圧では増殖増強作用がほとんど見られなかったが、低濃度領域ではいずれの場合も増殖作用を示した。また透過性亢進作用と同様に、NPYはG-蛋白を介するPLCの活性化によるPKCおよびカルモジュリン依存性蛋白燐酸化酵素の賦活化によって増殖増強作用を生じることが示された。もうひとつ、異なる点は、Abelson tyrosine kinaseが細胞増殖増強作用にでは関与していないことも透過性におけるtethering force生成機序と異なっていた。 血管内皮細胞の低酸素状態においてNPYの特異的な増殖増強作用は、透過性亢進と同様NPY Y_3-受容体を介するものである。しかしながら、この受容体サブタイプは現在まで遺伝子配列がまだ分かっていない唯一の受容体である。Y_3-受容体ではY_2-受容体が変形している可能性があるように考えられた。
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