研究課題
申請者らは従来から急性肺傷害の臨床医学的、基礎医学的検討を進めてきた。この間、急性呼吸窮迫症候群(以下ARDS)に対して様々な治療法が提唱されてきたが、決定打となるような治療法は未だ開発されていない。そのためARDSに関連した死亡率は30から40%と高率なまま推移しており、さらなる検討が必須とされてきた。本研究は申請者らが継続検討してきた急性肺傷害の成立過程をさらに詳細に研究せんとするものである。特に数年前より申請者らが開発したマイクロサンプリング法を使用して、より安全かつ確実にARDS患者からの肺上皮被覆液採取が可能となったため、臨床データと基礎実験データを合わせた、いわゆるtranslational researchの面で様々な実績をあげることができると期待できる。また本申請では細胞障害の成立を検討するとともに、さらに修復メカニズムにも焦点をあて、急性肺傷害の全体像をより明らかにすることを目的とした。急性肺傷害の成因はその病態からも単一でないと予想されているが、敗血症性の急性呼吸窮迫症候群に関しては全身炎症症候群に続発する多臓器不全の一分画症であることは明らかである。本研究においてもまず敗血症性の病態に焦点をあてて急性肺傷害の細胞障害成立機序を明らかにし、さらに修復機転に関与する各種メディエータおよび肺胞構成細胞についても検討をおこなった。具体的には、急性肺傷害の直接傷害因子として現在もっとも注目されているHMGB1(High mobility group box 1 protein)、アポトーシス誘導因子であるFas/FasLの検討を中心に研究を進めこれら物質の急性肺傷害への関与をより明らかにした。
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