前立腺癌骨転移巣に対する遺伝子治療における、PETを用いた評価法の確立のための基礎的実験として、まず非担癌マウスと皮下担癌マウス、すなわちヒト前立腺癌細胞PC-3の10^6個を50μLのRPMI-1960ミディアムに溶解し、これを皮下移植したマウスの2群で検討をおこなった。マウス尾静脈より5.0MBqのフッ素18標識フルオロデオキシグルコース[^<18>F]FDGを投与し、投与1時間後にPET(まず[^<18>F]FDGの集積をBASで確認)を施行する。非担癌マウスと担癌マウスともに、心臓、脳への自然集積を認め、担癌マウスにおいては癌部に糖代謝率の指標となる[^<18>F]FDGの集積を認めた。次に担癌マウスに対し臓器特異性オステオカルシンプロモーターを組み込んだアデノウイルスベクター(Ad-OC-TK)およびバラシクロビルを用いた遺伝子治療を行い、[^<18>F]FDGを用いて経時的に治療効果の判定を行う。対照群にはPBS注入群を設ける。遺伝子治療群において腫瘍径の低下にともない[^<18>F]FDGの集積の低下傾向を認めた。また単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼ(Herpes Simplex Virus-Thymidine Kinase、以下:HSV-TK)の発現部位に集積する[^<18>F]FHBGについて合成しており、その集積によりAd-OC-TK導入効率を評価できた。
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