研究概要 |
1.膀胱癌の化学療法における遺伝子発現による感受性予測に関する研究 (1)Cisplatin耐性に関与する遺伝子の同定 Cisplatin耐性株と親株での遺伝子発現をマイクロアレイ解析し、その耐性に関与する候補遺伝子としてIP3R1(Oncogene.2005)、およびS100,ANXA8,COX2など耐性関連遺伝子を同定した。S100Pは核への局在化が耐性に関与していることが判明し、耐性株にS100Pを強発現させることによりCisplatinに対する感受性が増加した。 2.尿路性器癌の遺伝子多型に関する研究 (1)前立腺癌発症に関する遺伝子多型解析 前立腺癌の発症に関連する候補遺伝子として、HER2、HPC2/ELAC2、LH-beta、PSA、CYP1B1を選定し、それぞれ遺伝子多型頻度を解析し、HER-2多型が重要である事を報告した(Prostate,2005)。 (2)癌化学療法の有害事象に関する遺伝子多型解析 M-VAC(MTX,VLB,ADM,CDDP)療法の骨髄抑制は、ADM.CDDPの解毒酵素であるGSTP1低活性多型(105Val)で、有意に生じやすく、癌の個別化治療として、重要な分子であると考えられた(Int.J.Urol.,in press,2007)。 (3)腎細胞癌におけるサイトカイン療法と骨髄非破壊的同種造血幹細胞移植(ミニ移植)の基礎的検討 Interferon alfa治療を受けた転移性腎細胞癌患者を対象として、関連遺伝子群の多型解析を行い、臨床効果と相関する遺伝子としてSTAT3など複数の遺伝子を同定した(J.Clin.Oncol.,in press)。また、ミニ移植の基礎的検討としてマウスモデルを作成して、抗腫瘍効果を誘導しつつGVHDを軽減することに成功した。
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