研究課題/領域番号 |
16390467
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
金武 洋 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (50100839)
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研究分担者 |
酒井 英樹 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (40235122)
井川 掌 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (40295069)
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キーワード | プロスタグランジンE2 / EPレセプター / 前立腺癌 / TNMステージ / 予後 / 免疫組織学 / 移行上皮癌 / 前立腺肥大症 |
研究概要 |
前立腺癌におけるプロスタグランジンE2受容体(EPレセプター)の臨床的意義を検討するために、手術的に得られた正常組織、肥大症組織、癌組織における発現を各レセプター(EP1レセプター〜EP4レセプター)毎に免疫組織学的に検討した。 まず、至適染色条件を決定するために、賦活化、抗体希釈率について様々な条件を設定検討し、さらに、blocking peptideを用いると染色性が低下することなどを確かめ、抗体の信用性についても確認した。 次に、各組織における発現を実際に検討したが、EP1レセプターの発現は癌組織において有意に他の正常組織における発現より強く見られた。また、この発現はTNM分類のT stageが高いもので強く、転移を有する患者の組織において有意に強く染色されていた。EP2レセプターは癌組織で最も強く発現しており、正常腺組織に比べて有意に強かった。ただし、肥大症の組織においても高発現していた。また、EP2レセプターの発現と各種臨床病理学的因子との間には有意な関連を認めなかった。他のEPレセプターについてはこのような関連は認めなかった。 また、その条件設定に過程で上部尿路の移行上皮癌におけるEPレセプターの発現を検討していたところ、前立腺癌組織とは明らかに発現パターンが異なることに気付いた。つまり、前立腺癌組織では発現が少なかったEP4レセプターの発現が強く認められていた。そこで、101名の上部尿路の移行上皮癌患者におけるEP4レセプターの臨床的意義を検討したところ、high stageの患者で高発現しており、生命予後の有用な予測因子であることもわかった。このように、EPレセプターの発現様式や意義が発生組織の違いによって変わる可能性が示唆された。
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