研究概要 |
我々は腎細胞癌で高頻度に発現している癌関連抗原CA9のHLA-A24拘束性ペプチドワクチン3種類(CA9p219、p288、p323)を開発し、臨床試験を難治性進行性腎癌患者23名に施行したところ、ワクチン投与による重篤な有害事象を認めず、臨床的にも転移巣の縮小を示したresponderを認め、本ワクチン療法が安全かつ有効であることを示した(Clin Cancer Res,2006)。その際得られた免疫学的結果から、より迅速に特異的キラー細胞が誘導できるペプチドワクチン療法の開発が望まれると考えられた。臨床試験に使用した各ペプチドのMHCクラスI分子に対する親和性を調べたところ、p219、p288は比較的高いもののp323はコンピュータを用いて予想した親和性に反し非常に低いものであった。そこで我々は、既存のペプチドワクチンの9個のアミノ酸のうち改変させた改変型ワクチンやコンピュータで高親和性が予想されるペプチドをさらに25種類(RD6124-32,9M11-20,9M2M,9M2F,9M3M,9M3F,9M8Y,9M10Y)作成し、より優れたペプチドワクチン開発を目的に、まずHLA-A24に対する親和性をMHC stabilization assayにて検討した。結果はRD6128,9M15,16,17,20,9M8Yの6ペプチドで親和性が高かった。次に、癌ワクチンとしての有用性を検討するために、腎細胞癌担癌患者の末梢血より得られた有核細胞を用いて各ペプチドに対するCTLアッセイを行ったところ、これまでに使用してきたオリジナルペプチドワクチン(CA9p219,CA9p288)に比較し、高いCTL誘導能を示すペプチドが存在した。現在、これら新しいペプチドの癌ワクチンとしての有用性について、テトラマーを用いた患者リンパ球CTL前駆細胞の検出、各ペプチド刺激樹状細胞を用いたペプチド特異的なCTL誘導能とCA9陽性HLA-A24陽性癌細胞に対する殺細胞効果(^<51>Cr release assay)について検討中である。
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