研究課題/領域番号 |
16390469
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
村井 勝 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90101956)
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研究分担者 |
中島 淳 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (10167546)
大東 貴志 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80185371)
大家 基嗣 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (00213885)
宮嶋 哲 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (90245572)
梅澤 一夫 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (70114402)
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キーワード | 前立腺癌 / 放射線治療 / 細胞周期 / NF-κB |
研究概要 |
前立腺癌の治療において、手術と共に放射治療は根治療法として施行される。細菌では密封小線源治療が浸襲性、効果、QOLなどの点で注目されている。しかしながら、各種放射線治療後に再発する症例もあり、放射線治療の効果増強や治療抵抗性の克服が期待される。放射線治療抵抗性の獲得の機序としてNF-κBの活性化が強く関与していると考えられている。今回研究者らはNF-κBの活性阻害作用を有するDHMEQを用いて放射線治療の増強効果の可能性について検討した。ホルモン感受性前立腺癌細胞株LNCaPを用いて種々の濃度のDHMEQを加え、6時間後に放射線照射を行った。細胞直接障害はトリパンブルー細胞分染法を用い、細胞周期はBrdUを用いたflow cytometry解析を行い、NF-κB活性はp65によるDNA binding assayにて測定した。LNCaPにおいて放射線照射した併用治療群では、DHMEQ単独群と比べて21.3%、放射線単独群と比べて34.3%の抗腫瘍効果の増強が示された。細胞周期解析では併用治療群(48.3%)において、無治療コントロール群(25.1%)、DHMEQ単独群(23.3%)、放射線単独群(27.6%)と比べ明らかなG2/M arrestの増強が確認された。放射線照射によりLNCaP細胞のNF-κBの活性化が確認されたが、DHMEQはこれを抑制した。NF-κB活性を阻害するDHMEQは前立腺癌の放射線感受性を増強することが示され、これらの併用は新たな治療戦略となる可能性が示唆された。
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