研究概要 |
1.L2エピトープの中でcross-neutralization epitopeを検索するため、HPV16L1L2VLPに結合する10個の合成L2ペプチド(14-20アミノ酸)に対する抗血清を作製した。Anti-P18/38はHPV18を、Anti-P56/75はHPV18,31,58を、anti-P61/75とanti-P61/75とanti-P64/81はHP18とHPV58を、anti-P96/115はHPV31とHPV58を中和した。また、anti-P18/38、anti-56/75、anti-96/115のmixtureはanti-P56/75単独よりも数倍の中和活性を有した。 2.LIキャプシドにL2エピトープを挿入するため、VLP表面にL2 epitopeが抗原提示されるL1領域を決定した。その過程で、L1およびL2が分化したケラチノサイトでのみ発現され、未分化な細胞で発現が抑制される機構はpre-mRNAがsplicing stepの後のRNA element-mediated mechanismによって破壊されることであることを示した。 3.HPV16,52,58,6型の蛋白L1に対するIgG抗体測定を行い、HPV L1蛋白に対する液性免疫応答はCIN病変の自然消退と関連しないこと、過去の別の型の感染から得られた獲得免疫は現感染の制御には役立たないことを示した。CIN患者では複数のHPV型に対する抗体を有することが特徴であり、複数のHPV型に感染することにより、排除できないHPV型と出会う機会が増加すると考えられた。 4.我が国の主要HPV論文のメタアナリシスを行い、とくに発癌リスクの高いHPVタイプは海外とは異なりHPV16/18/31/33/35/52/58の7タイプであることを示した。本邦、韓国、中国を初めとする東アジアでは、HPV16/18陽性が60%とやや低く、HPV31/33/52/58が欧米や他の地域に比べ高頻度であった。世界中の子宮頸がんをワクチンで予防するには、この7タイプにHPV45を加えた8タイプがtargetになることを示した。
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