研究概要 |
ヒト羊膜間葉系細胞の初代培養では1万個/cm2以上の密度で培養すると増殖が起こらなかった。初代培養で増殖が起こったのは0.5万個/cm^2の密度で幡種した場合であった。0.1万個で培養を開始したときのdoubling timeは2.17日であった。継代を繰り返すことにより、4から5週の間に増殖能の高い紡錘形の細胞が出現した。継代しない場合は、細胞が大きく広がったまま増殖せずに経過した。 軟骨細胞に特異的に発現する遺伝子(BMP2, BMP4, BMPRIa, BMPRIb, BMPRII, Collagen type II, Sox5, Sox6, Sox9)の解析をRT-PCRにより行った。その結果、上記遺伝子の発現が示唆できた。なお、ヒト軟骨細胞をポジティブコントロールとして用い、BMP2,BMPRIa,BMPRIb,Sox9についての発現が確認できた。 培養羊膜間葉系細胞が軟骨細胞特有の遺伝子を発現していることから、これら細胞が軟骨細胞に分化する可能性があることがわかった。 次に羊膜由来の細胞をTGF-b3を加えて培養すると結節を形成し、軟骨組織様の形態を示しつつあることが示された。また、BMPを加えて培養した場合でも同様な結節を形成し、軟骨組織様の形態を示しつつあることが示された。TGF-b3およびBMP-2を加えて羊膜由来間葉系細胞をPellet cultureの条件で培養したところ、肉眼的に軟骨様の組織が形成できた。RT-PCRによりPellet cultureで作製した軟骨様組織について軟骨に特異的に発現されるSox9、Collagen Type2を調べたところ、強く発現することが確認できた。 これらのことから、Pellet culture下でTGF-b3、BMP-2を使用することによってヒト羊膜間葉系細胞が軟骨組織に分化することが示唆できた。
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