研究課題/領域番号 |
16390478
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
青木 大輔 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (30167788)
|
研究分担者 |
野澤 志朗 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90051557)
進 伸幸 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (90206459)
鈴木 淳 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00255514)
鈴木 直 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90246356)
福地 剛 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70245554)
|
キーワード | 子宮体癌 / 卵巣癌 / ヒトモノクローナル抗体 / extended core-1 / 補体依存性細胞障害活性 / 糖鎖抗原 |
研究概要 |
現在、各種疾患に対する抗体療法が注目されている。これまで開発されてきた抗体は少なからずマウスなどのヒト以外に由来するアミノ酸配列が含まれ、異種タンパクに対する抗体産生の問題から頻回投与には限界があったが、現在開発中の抗体は最新の遺伝子工学によって作製された完全なヒト抗体を産生するマウスを使うもので、抗腫瘍活性を有するヒトモノクローナル抗体(Mab)が得られれば臨床応用が期待できる。さらに、抗原決定基の解析により新たな癌の生物学的特性が解析できる可能性がある。 そこで、完全ヒト型抗体産生マウス(KM mouse)を用いヒトMabの作製を試みた。いくつかのヒトMabが得られている中で子宮体癌と卵巣癌細胞に対する抗体に関して解析を行った。前者については、抗原分子がヒトにおいてその局在がきわめて限局しているextended core-1構造を有するO-glycanであることを明らかとし、本糖鎖構造が癌に存在することを世界で初めて報告した。また、子宮体癌だけでなく卵巣癌やその他の婦人科癌にも高い特異度で反応するばかりでなく、抗体が反応する子宮体癌細胞に対して補体依存性細胞障害活性(CDCC)を有することも判明した。また、後者は、卵巣癌の各組織型に特異度は低いものの反応率が約80%と高く、抗体認識分子に関する生化学的解析の結果、N-またはO-glycanの両者に共通する糖鎖構造であると推測された。さらに抗体の機能としては、卵巣癌細胞と腹膜中皮細胞との接着を阻害する活性があることが判明し、卵巣癌の腹膜播種を抑制する可能性が示唆された。 さらに、これらのヒトMabの癌細胞抑制効果を検証する目的で、リンパ節転、腹膜播種に関する同所性移植マウスの動物モデルを開発した。
|