研究課題
背景(昨年までの成果):上咽頭がん患者のMMP1プロモーター領域-1607bpにおける一塩基多型(SNP)をABI prism 7700によりRQ-PCRを行い解析した結果、本方法にて45例中43例にタイピングが可能であった。そして、患者の臨床データと比較し、とくに、粗生存率・無病生存率を中心とした各種データと遺伝子型との関連性について検定したところ1G/1G群の予後は有意に良いことが判明した。本年は以下の結果が得られた。1)健常人と上咽頭がん患者の遺伝子型の比較MMP1プロモーター多型(1G/2G SNP)について1G/1G・1G/2G・2G/2G遺伝子型にタイピングし、健常人と患者の各々の遺伝子型の出現率を比較した。すると、健常人の1G/1G・1G/2G・2G/2G遺伝子型の比率は各々24%、54%、22%であるのに対して上咽頭がん患者では1G/1G・1G/2G・2G/2G遺伝子型の比率は各々16%、41%、43%と2G/2G遺伝子型を有する比率が優位に多いことが判明した(P=0.02)2)LMP1およびMMP1発現と遺伝子型の比較これまでに免疫組織科学的検査により評価されたLMP1蛋白およびMMP1蛋白の発現データと1G/1G・1G/2G・2G/2G遺伝子型について比較し、1G/1G群ではLMP1発現とMMP1発現が相関しないか、また、2G/2GではLMP1発現とMMP1発現が相関するのか、そして、1G/2Gヘテロ接合体での相関はどうであるかをKruskal-Wallis検定を用いて検討した。その結果、LMP1蛋白レベルでの発現とMMP1の発現が相関しないことが判明した。これは蛋白発現が周囲の因子により影響を受けるためその患者の予後因子としての情報供給源としては不安定であるのに対して、DNAレベルでの情報はより信頼度が高いことを示唆する。
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