研究課題/領域番号 |
16390498
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
西脇 弘一 京都大学, 医学研究科, 助手 (90303841)
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研究分担者 |
西川 元也 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (40273437)
桐生 純一 京都大学, 医学研究科, 講師 (80281096)
高木 均 京都大学, 医学研究科, 講師 (70283596)
田辺 晶代 京都大学, 医学研究科, 講師 (80243020)
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キーワード | デンドリマー / ドラッグデリバリー / 脈絡膜新生血管 / 光線力学療法 |
研究概要 |
近年、眼科領域ではポルフィリン誘導体を用いた光線力学療法(PDT)が脈絡膜新生血管の治療に用いられているが、C60に代表されるフラーレンは、ポルフィリン誘導体に比べ、非常に高い一重項酸素産生の量子収率を示し効率よく活性酸素を産生することが報告されている。一方、樹木状多分岐高分子であるデンドリマーは化学的性質や分子サイズなどの特性を分子レベルで制御でき、薬物キャリアとしての応用が期待されている。フラーレンとデンドリマーの複合体であるフラロデンドリマーはこれら両方の機能を兼ね備えたより高次の機能発現が期待されている。今回我々はin vitroにおいてフラロデンドリマーを用いた光線力学療法の可能性について検討をおこなった。正常ヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC、1.0×104個/ml)ヘフラロデンドリマー(C_<60>(G1.5-COOK))を添加(1ng/ml〜10μg/ml)。その後、半導体レーザーによる光照射(685nm,11.3mW/cm2,10〜30J/cm2)をおこなった。48時間後、WST法により細胞生存率を測定した。またTUNEL法により、アポトーシスの細胞死への関与について検討をおこなった。フラロデンドリマー10μg/ml投与と光照射併用群では、フラロデンドリマー単独投与群と比較して、有意に血管内皮細胞の増殖を抑制した。フラロデンドリマー10μg/ml+光照射10J/cm2では細胞生存率56.3%(P<0.05)、光照射20J/cm2では細胞生存率41.5%(P<0.01)、光照射30J/cm2では細胞生存率29.8%(P<0.01)と、フラロデンドリマー10μg/ml単独投与群の細胞生存率97.2%に比較して有意に血管内皮細胞の増殖が抑制された。 また、コントロール群ではTUNEL陽性の血管内皮細胞は3.8%しか認めなかったのに対し、フラロデンドリマー10μg/mlと光照射30J/cm2併用群においてTUNEL陽性の血管内皮細胞を49.1%(P<0.05)認め有意に増加していた。フラロデンドリマーへの光照射により血管内皮細胞の増殖が抑制され、その機序にはアポトーシスの閣与が示唆された。フラロデンドリマーを用いた光線力学療法の可能性が示唆され、脈絡膜新生血管への治療への応用が期待された。
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