研究課題/領域番号 |
16390503
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
大沼 直躬 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (50125910)
|
研究分担者 |
中川原 章 千葉県がんセンター, 研究所, 所長 (50117181)
佐々木 文章 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (40178661)
林 富 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40125638)
橋都 浩平 東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (50180815)
檜山 英三 広島大学, 自然科学研究開発センター, 教授 (00218744)
|
キーワード | 肝芽腫 / グループスタディ / アレイCGH / cDNAマイクロアレイ |
研究概要 |
肝芽腫の分子生物学的特徴を解明し、腫瘍の悪性度や患者の予後予測ができる診断システムの構築を目指し、arrayCGHを用いて解析した。解析症例は、JPLTに登録された肝芽腫58症例で、非腫瘍関連死亡症例と肝細胞癌症例は除いた。カルフォルニア大学サンフランシスコ校で作成したarrayCGHを用い、Whole genomeをカバーした解像度約1Mb、2464のBAC cloneを搭載していた。カラー行列から、肉眼的に染色体の増減が2染色体以下の群・Silent群と、それ以上の群・Aberrant群に分けた。ゲノムアレイの解析結果から、1)Silent群、Aberrant群の間には病期・βカテニンの変異有無・化学療法の有無、月齢、組織型などの割合に統計学的有意差はみられなかったが、Silent群には高分化型が、Aberrant群には低分化型が多い傾向であった。2)Silent群はAberrant群と比較して統計学的有意に予後良好であった。3)Silent群は、1q Gainの頻度が高かった。4)Aberrant群においては、1qのGain/Lossに加えて、1p Loss、2番・20番染色体のgainが高頻度にみられた。 1)肝芽腫において、カラー行列による染色体の増減パターンを用いることで、予後診断が可能であることが判明した。 2)肝芽腫では、ゲノム異常がほとんど見られずに発症している症例が比較的多く存在し、小児だからこそ、環境因子などによるさまざまなゲノム異常がまだそれほど生じてないことが予想される。これらのことから、腫瘍化の過程では、1q gainが早期に関与し、1qのGain/Lossに加えて、1p Loss、2番・20番染色体のgainが悪性化に関与する可能性が示唆された。したがって、早期に出現するゲノム異常領域を解析することは、肝芽腫の成因、あるいは悪性化のメカニズムを解明することに役立つと考えられた。
|