研究課題/領域番号 |
16390511
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
平野 明喜 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (90208835)
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研究分担者 |
永山 雄二 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30274632)
秋田 定伯 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (90315250)
田中 克己 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (70244069)
秋野 公造 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (60284668)
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キーワード | 異所性骨 / 骨髄由来間葉系幹細胞 / 骨形成サイトカイン / 血管柄付結合織膜弁 / 移植床血行 / 骨マーカー / 転写因子 / 臨床応用 |
研究概要 |
前年度から引き続き、ヒト骨髄由来間葉系幹細胞(hMSC)と骨形成サイトカイン「骨形成因子(Bone Morphogenetic Protein-2,BMP-2及び塩基性線維芽細胞増殖因子(basic fibroblast growth factor,bFGF))」を用いて、頭蓋骨欠損部位での効果的な骨新生(骨形成)を確認しており(Akita S, et al. Wound Reapair regen, 2004)本年度は異所性の骨再生につき、浅腹壁皮弁を挙上し、ヒト間葉系幹細胞、BMP-2、bFGFをゼラチンに含めた血管丙付結合織膜弁で検討した。更に、"間葉系"分化系列での転写因子の関与につき検討を加えた。骨塩量は術後4週で他の生理的食塩水群、ヒト間葉系幹細胞単独群、2種類の骨形成サイトカイン群と比較し有意に増加した(p<0.01)。術後7日までは、組織像には著明な変化はなかった。2週で、ヒト間葉系幹細胞と2種のサイトカインを用いた群では血行の改善と血管周囲組織の蓄積が認められ始めた。術後4週で、塩基性ミネラル構造が線維芽細胞様の間葉系幹細胞を取り囲み、骨芽細胞や破骨細胞の裏打ちを認めた。術後4週で、アルカリフォスファターゼとオステオカルシンが広範囲に明確に免疫組織発現した。更に、術後4週での転写因子であるPolyomavirus enhancer binding protein 2αAの発現は移植したヒト間葉系幹細胞が骨分化系列に分化したことを示した。bFGFは骨形成サイトカインであると同時に血管新生因子として、移植部位の血行、血管新生に効果的であった。これら結果から骨再生方法として本法は有用であると思われた。また臨床例においては、小児両側口蓋裂の中間顎の突出に対し、骨切り術による位置改善と骨移植術を用いて骨の効果的再生をみており、骨再生における"場"の重要性が再確認された。尚、hMSC、サイトカイン、"場"として使用したゲルフォームは全て臨床使用可能か、一部臨床承認中のものであり、近く臨床での効果的な骨再生に逐うよう可能であると思われた。
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