研究課題/領域番号 |
16390515
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
救急医学
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
鍬方 安行 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (50273678)
|
研究分担者 |
小倉 裕司 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70301265)
田中 裕 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (90252676)
杉本 壽 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (90127241)
|
研究期間 (年度) |
2004 – 2006
|
キーワード | 酸素消費量 / 酸素運搬量 / 敗血症 / ショック / 人工赤血球象 |
研究概要 |
敗血症の血行動態を模倣したIL-1β惹起ショックモデル(ウサギ)では、本来酸素運搬量の多寡に拘わらず酸素消費量が一定であるべき領域で、運搬量依存性に消費量が減少するという現象の発見を基にして、敗血症時の臓器不全発症メカニズムを追求した。IL-1βショックで発現する血管拡張性メディエータと同種のPGE1を経静脈的に持続投与することによって、IL-1βと同等のショックを惹起し、酸素代謝を評価した。結果として、IL-1βで誘導される酸素代謝異常は再現されず、単なる投与ではなく、内因性のメディエータ発現が鍵となることが明らかとなった。大腸菌内毒素(LPS)を用いて、IL-1β誘導ショックより長期にわたって血管運動性ショックを再現できるウサギモデルを開発した。このモデルでは、特に臓器別血行動態の把握が可能なシステムを構築し、基礎実験を行った結果、LPS誘導血管運動性ショック時には、運搬量依存性の消費量変化をきたす酸素代謝異常と同時に、腸管における血行動態異常を来していることを明らかにした。上腸管膜静脈に超音波流量計を留置して持続的に門脈血流を測定しつつ、小腸粘膜血流を表面ドプラースキャン法によって間歌的に測定した。その結果、LPS投与後90〜240分後に持続する血管運動性ショック時には、心拍出量は前値と同等であるのにも拘わらず、全身的には代謝性アシドーシス・高乳酸血症を来たし、門脈血流は前値の約150%に達するほど増加していた。また、腸管粘膜血流は60分後に前値の67%をとったあと徐々に増加するものの前値には復せず、しかも観察期間を通じて腸管粘膜単位面積あたりの血流量分布のrelative dispersionは一貫して有意に増加していた。すなわち、LPS投与による実験的敗血症では、腸管血流のheterogeneityの増大が、全身の酸素代謝異常発生と密接に関係していると考えられた。
|