研究課題
基盤研究(B)
今回の研究を通して、敗血症・多臓器不全状態において、破壊された組織・細胞(壊死病巣)から放出され、「個体死のメディエーター」として作用するHMGB1蛋白について、(1)HMGB1が炎症誘導物質として作用するよりも、他の要因で惹起された炎症反応を著名に持続させる作用があること。(2)細胞外HMGB1は、活性化マクロファージからの分泌あるいはネクローシス状態に陥った細胞からの受動的な漏出により増加するものと考えられていたが、重症感染症、敗血症などでみられる組織・細胞の嫌気状態においては、細胞種を問わず、すべての細胞において、細胞死に先行してHMGB1が細胞外に放出(分泌)されること。(3)正常血管内皮細胞膜上に多く発現しているトロンボモジュリン(TM)蛋白に細胞外でのHMGB1蛋白機能の阻害活性があること、(4)その阻害活性は、アミノ末端側に存在するレクチン様ドメイン(D1)によるものであることなどを明らかにした。実際に、100アミノ酸からなるD1領域のペプチドの投与により、組織破壊型の炎症の遷延化、エンドトキシンショックモデルなどの致死性など、HMGB1蛋白を介したとされる生体イベントの抑制・予防が可能で、この結果をもとに、コンピュータを用いた構造予測を行い、(5)TMとRAGE蛋白との間の構造的類似性の高い部分(10-20以下のアミノ酸配列でPXXXLあるいは、LXXXPを含む;Xは任意のアミノ酸)を見出し、候補となる複数のペプチドをスクリーニングした結果、HMGB1蛋白機能の阻害活性を有する抗炎症ペプチド(RAGEに類似した12アミノ酸のペプチド)を得ることができた。
すべて 2005 2004
すべて 雑誌論文 (13件) 図書 (1件)
J Clin Invest. 115(5)
ページ: 1267-1274
Thromb Res. 115(4)
ページ: 319-325
Clin Cancer Res. 10(18 pt.1)
ページ: 6179-6188
J Biomed Sci. 11(4)
ページ: 534-537
J Thromb Haemost. 2(5)
ページ: 833-834
日本臨床 62(12)
ページ: 2229-2235
Kekkan-Naihisaibou kenkyuu Frontier
ページ: 21-23
Nippon Rinsho 62(12)