研究課題/領域番号 |
16390518
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研究機関 | 科学警察研究所 |
研究代表者 |
高取 健彦 科学警察研究所, 所長 (30001928)
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研究分担者 |
櫻田 宏一 科学警察研究所, 法科学第一部, 室長 (10334228)
安田 二朗 科学警察研究所, 法科学第一部, 室長 (10282518)
太田 彦人 科学警察研究所, 法科学第三部, 主任研究官 (40392261)
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キーワード | 2-PAM / VX / Soman / BBB |
研究概要 |
パム誘導体として有機合成した4-Hydroxyiminomethyl-N-hecyl pyridinium bromideにcarboxyl基を導入したものをハプテンとし、これにキャリアタンパクであるKLHを縮合した。この抗原を家兎に免疫し、ポリクローナル抗体の作製を試みた。その結果、家兎の血清から力価は極めて低いものの、パム誘導体に対する抗体を得ることができた。次に、実験で用いる神経ガス剤として、VX類似体Ethyl 4-nitrophenyl methylphosphonate及びSoman類似体Ethylhydrogen methylphosphonateを有機合成した。これらの類似体はいずれもラット静注によるin vivoにおいてはその代謝が極めて速く、AChE活性抑制の程度が本来のものより弱いが、in vitro実験において使うには十分なAChE活性抑制効果をもつ化合物であることを確認した。さらに、有機合成したパム誘導体の中で比較的AChE再活性の程度が高かった4-Hydroxyiminomethyl-N-decyl pyridinium bromide、4-Hydroxyiminomethyl-N-octyl pyridinium bromide、2-Hydroxyiminomethyl-N[p(tert-butyl)benzyl]pyridinium bromide及び2-Hydroxyiminomethyl-N-(p-benzyl)pyridinium bromideについて、それぞれラット脳マイクロダイアリシス分析によるBBB通過の可能性について検討した。その結果、いずれのパム誘導体でも50mg/kg I.V.投与後ラットは即死し、10mg/kg I.V.投与でも即死するものが多く、2-PAMに比べて極めて心毒性の強いことが示唆された。さらに、低濃度投与による検討を行ったが、本分析はHPLC/UVにて検出しており、UV吸収の比較的少ない誘導体ではBBB通過の程度が微量であった場合には検出が困難なこともあり、BBB通過の可能性については明らかにされなかった。
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