研究課題
基盤研究(B)
口腔癌細胞株HSC6で見つけたERK2のCDドメイン中のアミノ酸chargeの変化を伴う突然変異遺伝子の生物学的、生化学的変化とERK蛋白質の上・下流蛋白質の解析を行い以下の結果を得た。1)口腔癌(本邦とインドの口腔扁平上皮癌の計50例以上)についてERK2のCDドメインの変異をPCR増幅DNAのSSCPあるいは塩基配列決定法で変異を検索したがHSC6のみで変異頻度は低かった。2)ショウジョウバエのトランスポゾンベクターで変異遺伝子を導入発現させhomozygousになった個体を作成したがseven maker変異のような複眼の顕著な形態異常は見出せなかったが。微細構造の差等についての解析を進めている(京都繊維工芸大学・山口 教授との共同研究)。まだ結果は得られていないが細胞癌化能についての解析をすすめた。3)in vitro ERKキナーゼ活性をHSC6と正常型ERKを発現するHaKaTの血清飢餓細胞と通常培養細胞で比較した。通常培養細胞では差は見られなかったが飢餓細胞で活性に2倍の差が検出され酵素レベルで活性化していた。4)変異ERKの上流下流蛋白質との相互作用:上流のMEKによるリン酸化異常は検出されなかったが、下流のMKP-1により野生型ERKは脱リン酸化されたが変異型は脱リン酸化されず変異型がMKP-1と結合できずこれがERK2の恒常的活性化の要因である可能性が示された。5)ERKの野生型と変異型の融合蛋白質を発現させ結合蛋白質の相違を解析できる系を確立した。6)ERK2結合蛋白Naf1はM期で過リン酸化され、G1期に入ると分解された。またG2/MとG1で細胞周期を止めるTSA処理または許容温度で培養したp53(A138V)発現Saos-2細胞にsiNaf1を導入するとアポトーシスが誘導された。またNaf1は変異型ERKと結合しやすい予備的結果を得た。7)SNT-2はERK2と186-252アミノ酸領域で結合しMEKより上流でERK活性化を阻害し、SNT-1とは異なる作用点をもつことが明らかとなった。8)口腔扁平上皮癌細胞株7株についてAKTの恒常的リン酸化とetoposide等の抗癌剤感受性に大きな相関は見い出せなかった。
すべて 2004
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