研究概要 |
本研究ではBMPがin vivoにおいて十分な骨形成活性を示すためには、BMP抑制分子の活性制御が重要であるとの仮説に基づき、それを検証する基礎研究を展開し、臨床応用に向けた基盤とすることを目的とする。本年度はその目的のために以下の2点について研究を行った。 1)BMPによるin vivoでの骨形成ではどの抑制分子が主たる発現をするか、2)内在性の抑制分子の活性を減弱させることで、骨形成が増加するか、 BMPによって誘導されるBMP抑制分子の網羅的発現解析 In vitroでの検討 間葉系細胞10T1/2細胞に対して、BMP2,5,6,5/7のそれぞれを作用させ、経時的にRNAを抽出し骨芽細胞分化形質、軟骨細胞分化形質とBMP抑制分子の遺伝子発現を網羅的にreal time PCRにて観察した。骨芽細胞の分化形質はBMP2によって最も効率よく誘導がかかり一方、軟骨細胞の分化形質はBMP5/7によって効率よく誘導がかかった。一方BMP抑制分子についてはすべての条件においてNogginの誘導が認められた。またUSAG1,Twsg,cer,Grem,DANなどは発現レベルが変わらないか、むしろ抑制的に認められた。Sost(sclerositin)はBMP2により12時間後PRDCは24時間後に発現の上昇が認められた。したがって、以上の結果からNoggin Sost PRDCがBMP刺激に反応的して遺伝子発現上昇が認められることが示された。またSostの発現上昇は初代頭蓋冠由来骨芽細胞の分化においても認められるが、そこで外来性にNogginを作用させるとSostの発現が抑えられることから、内在性BMPシグナルがSostの発現の維持に必要と思われた。2)についてはU3promoterを用いた発現ベクターによって発現抑制が有効に行われることを予備的実験により観察している。現在それらの分子に対するsiRNAを発現させ、効果を観察している。
|