研究概要 |
骨格形成の重要な遺伝子として、線維芽細胞増殖因子受容体III型(FGFR3)および副甲状腺ホルモン関連ペプチド(PTHrP)があげられる。申請者は既にFGFR3/PTHrP遺伝子二重欠損マウスに認められる軟骨・骨組織の異常について解析を行い、PTHrPがFGFR3よりも優位に機能することを明らかにしている(Amizuka et al. Bone 2004)。本年度では、その事実を踏まえて、骨芽細胞から分泌されるPTHrPがautocrine的に作用し骨芽細胞の増殖を正に調節するといったPTHrPの骨組織でのanabolic作用の解析を行うと共に(Miao, Amizuka et al., J Clin Invest, 2005)、Jansen型およびBlomstrand型PTHrP受容体(PTH-R1)といった変異型PTH-Rタンパクの軟骨細胞あるいは骨芽細胞における細胞内プロセッシングを解析している。その結果、細胞膜の受容体の恒常活性(Jansen)やリガンドとの結合性の欠如(Blomstrand)ばかりでなく、小胞体への蓄積と細胞質内へのleakageならびにその後の分解を受けている可能性を突き止めている(下村、網塚ら:日本骨代謝学会2005年、論文作成中)。さらに、本来、PTHrPは高カルシウム血症誘導物質として発見されたことを踏まえて、PTHrP過剰産生腫瘍細胞が骨転移を生じた場合の局所的な病理組織学的な知見についても検索している。このようにFGFR3, PTHrP遺伝子変異ならびに過剰産生などの病理的状況における軟骨・骨組織の解析、細胞内プロセッシングなどの解析を行った。
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