研究課題
未分化間葉系細胞から骨芽細胞への初期のコミットメントにおいて、Runx2およびOsterixが重要であると考えられているが、骨芽細胞分化を誘導するメカニズムの詳細についてはいまだ不明な点が多い。今回、さまざまな細胞の分化に重要な働きをもつNotchが、未分化間葉系細胞の骨芽細胞への分化および石灰化においても関与していることを明らかにした。すなわち、Notchの細胞内ドメイン(NICD)を強発現させることによりリセプターとして機能するNotchのシグナルを強制的に入れることにより、骨髄ストローマ細胞由来のKusaA1細胞において、骨芽細胞系のマーカー発現が抑制された。また、in vivoにおける硬組織形成も強く抑制された。すなわち、Notchは骨芽細胞の分化あるいは石灰化において抑制的に働いていることが明らかになった。さらに、Notchシグナルをブロックすると報告されているCBF1をKusaA1細胞に強発現させた結果、NICDの場合とは逆にKusaA1細胞は骨芽細胞としてのフェノタイプをより強く発現するとともに、in vivoにおいてオリジナルのKusaA1細胞に比べてより大きな硬組織を形成することが明らかとなった。また、アレイによる解析で、NICDを強発現させるとCCN3(Nov)発現が増加し、逆にCBF1を強発現させるとその発現が低下することが明らかになり、NovはNotchシグナルと強く連動していることが示された。さらに、Novを発現させた細胞においては、NICDを強発現させた細胞と同様、骨芽細胞としてのフェノタイプが抑制される傾向にあったことから、NovはNotchシグナルを介して骨芽細胞分化を調節している可能性が示された。すなわち、Nov-Notchシグナルは、細胞を未分化の状況に可及的にとどめて置けるよう配慮されたシステムなのかもしれない。(789文字)
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (4件)
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