研究課題/領域番号 |
16390547
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
林 善彦 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (20150477)
|
研究分担者 |
柳口 嘉治郎 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (50264255)
大原 直子 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (80301365)
|
キーワード | キトサン / 細胞賦活作用 / シグナル伝達 / 遺伝子導入 / 細胞分化・増殖 / エレクトロポレーション |
研究概要 |
キトサンは種々な生体賦活作用を有している。これまで2年間の研究期間の間、キトサンモノマーによる培養骨芽細胞の活性化は、cDNAマイクロアレイ、Real-time PCR法を使って遺伝子レベルで詳細な検討を加えてきた。その結果、細胞内シグナル伝達系関連分子に対する直接的な亢進作用を証明できた。 本年度は、実際にシグナル伝達系分子のリン酸化が生じているか否かを、抗体アレイを使って免疫反応にて解析した。その結果、9個のMAPK関連分子で対照群と比べ反応の増強が確認できた。次に、本研究の目標である石灰化関連遺伝導入による骨芽細胞機能の解析実験に取り組んだ。これまでの一連の研究から、本実験で使用している骨芽細胞はBMP-2を介して細胞のアルカリフォスファターゼ活性を増強させることが明らかとなっている。そこでまず、BMP-2とGFPを組み込んだプラスミドをエレクトロ歩レーション法にて骨芽細胞へ効率よく導入する条件設定を行った。さらに、キトサンモノマーを遺伝子導入時に添加すると、無添加群と比べてGFPの蛍光強度が増強することが観察された。 以上の結果から、キトサンモノマーはエレクトロ歩レーション法を使って遺伝子導入を行う上で、培養骨芽細胞の増殖・分化というシグナル伝達系の賦活効果によって間接的に細胞機能の保護効果が期待出来ることが判明した。従って、キトサンモノマーの応用(活用)は創傷治癒促進(旺盛な組織再生能)効果とともに石灰化関連遺伝子の細胞への導入時に細胞保護(機能維持、恒常性維持)効果を発現できるので、新生象牙質による歯髄創傷治癒時に有益であることが明らかとなった。
|