研究概要 |
1.水溶性で歯面に対して親和性の高い界面活性剤であるsodium1-(4-heptadecafluorooctylphenyl)butylphenylphosphate(FH3)、およびsodium1-(4-heptadecafluorooctylphenyl)hexylphenylphosphate(FH5)のリン酸エステル塩型フッ素系ハイブリッド界面活性剤の合成法の開発に研究分担者の好野、および近藤らが成功し、J.Oleo Science,53(3),143-151,2004.J.Oleo Science,53(3),371-376,2004.、およびJ.Fluorine Chem.,125,1485-1490,2004.に発表した。 2.改質効果の検討 合成したFH3およびFH5を用いて合成ハイドロキシアパタイト、およびエナメル質に適応して改質効果とその持続性について検討を加え、日歯保存誌,47(2),242-252,2004.日歯保存誌,47(4),562-575,2004.、および日歯保存誌,48(1),128-136,2004.に報告した。また、研究成果の一端を、初期う蝕のマネージメント.クインテッセンス出版株式会社,2004年に著書として著した。 以上の研究活動の結果から、FH3およびFH5は合成ハイドロキシアパタイトに対し極めて高い親和性を有していることが示され、低濃度で高い改質効果が得られることが判った。エナメル質に対しては合成ハイドロキシアパタイト表面ほど著明な改質効果を示さないものの、対照の未改質エナメル質の比較して21日間の長期に亙り有意な改質効果を維持すると共に、良好な耐酸性を示した。 16年度の反省点としては、購入した高温型示差熱・熱重量測定装置を十分生かした研究成果を報告できなかったことである。この点に関しては17年度早期に、改質層を形成するFH3およびFH5の吸着量を報告する予定である。
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