研究概要 |
1.各種フッ素系界面活性剤の合成 16年度リン酸エステル塩型フッ素系ハイブリッド界面活性剤のsodium1-(4-heptadecafluorooctylphenyl)butylphenylphosphate (FH3)、およびsodium1-(4-heptadecafluorooctylphenyl)hexylphenylphosphate (FH5)の合成に成功したのに続き、17年度はスペーサーとしてエチレン鎖を持つサルフェイトタイプのハイブリッド界面活性剤(Fm EHn OS : m=4,6,8;n=3.5.7)の合成とその性質について報告した(J.Oleo Science、54(3)、167〜178、2005)。さらには、ベンゼン環を持つ非イオンハイブリッドタイプの界面活性剤(F6PH5EOm : m=4,8,10,14,C_6H_4=p-phenylene)(J.Oleo Science、54(6)、361〜368、2005)と、ベンゼン環を2つ持つリン酸エステル型フッ素系ハイブリッド界面活性剤(Fm PHn PPhNa : m=4,6,8;n=3.5)(J.Fluorine Chem.126、301〜306、2005)の合成について報告した。 2.フッ素系ハイブリッド界面活性剤の改質効果 水溶性のFm PHn PPhNaは焼結合成アパタイトの表面自由エネルギーを効果的に低下させたが、FH3およびFH5同様、研磨したウシエナメル質に対しては十分な改質効果は得られなかった。この問題点として、研削エナメル質表面のスミアー、汚れ、有機質の存在等が考えられるが、いまだ効果的な歯面の前処理法は開発できていない。 3.17年度の反省点 (1)FH3およびFH5の改質効果をJ.Dent.Res.に投稿したところ、レフェリーから改質効果の論拠とした論文について疑問が出された。したがって、18年度は口腔内におけるプラーク付着と表面自由エネルギーの関係について明らかにしなければならない。 (2)新規に合成したFm PHn PPhNaはFH3およびFH5同様、合成ハイドロキシアパタイトに対しは高い親和性を有していることが示されたが、エナメル質に対しては不十分であったため、歯面の前処理法についてさらに検討を加える。
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