研究課題/領域番号 |
16390550
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
植松 宏 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (80100957)
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研究分担者 |
柳沢 幸江 和洋女子大学, 家政学部健康栄養学科, 助教授 (60191160)
山脇 正永 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教授 (30302855)
千葉 由美 東京医科歯科大学, 大学院・保健衛生学研究科, 助手 (10313256)
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キーワード | 口腔機能 / 摂食機能 / 試験食品 / 摂食・嚥下障害 / 高齢者 / 介護福祉施設 / 要介護高齢者 / 誤嚥 |
研究概要 |
口腔機能を考慮した摂食機能簡易評価方法の開発において必要とされるのは、嚥下機能ばかりでなく、口腔機能である咀嚼を考慮した試験食品の決定である。今回われわれは、食パンに注目した。要介護高齢者施設における入所者の意見を調査すると、朝食へのパン食の要望は高く、喫食率も高い。また、地域在宅高齢者においても1週間に6枚切り食パン換算で約2〜4.5枚が摂取されているとの報告もある。一方で、パンは軟らかい物性を示すものの、咀嚼に要する筋活動量は飯よりも高い値を示し、咀嚼力の低下した高齢者には食べづらい食品である。また、咀嚼により付着性が増すため、嚥下力低下者には窒息の危険が高く、要介護高齢者施設での事故も多い食品である。 そこで、適切な性状を有する食パンは咀嚼・嚥下機能の評価に好適な食品ではないかと考えた。そして、摂食機能の低下した高齢者にも安全に食べることができる食パンの作製を目的に、2種の改良パンを試作し、施設高齢者による主観的評価を得た。歯切れの改良をコンセプトとした食パンは、味、食べやすさ、好みについて、一般の食パンに対する評価と大差ないものの、やわらかさ、皮の歯切れが評価されており、咀嚼力低下者には食べやすい食パンであることが明らかとなった。一般の食パンの代替品となりうる可能性が示唆された。一方、しっとりとした食感に仕上げた食パンは、その食感よりも甘味が評価されていた。しかし、甘味については、適度と感じる者と、過度と感じる者があり、個人の甘みに対する嗜好を配慮する必要があることが示唆された。 今後、客観的評価および若年者による詳細な主観的評価も実施し、咀嚼・嚥下機能評価にさらに適した食パンを検討する予定である。
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