研究概要 |
本研究では用いるインプラント毎に骨質に応じた適切な即時負荷や早期負荷のガイドラインが是非とも必要であると考え,「表面性状の異なるインプラント」と「異なる骨質」に最適な負荷時期を決定し,即時負荷・早期負荷が成功するためのガイドラインを確立することを目的として研究を行った。本年度の研究遂行状況を以下に示す。 1.即時負荷,早期負荷を目指したインプラント体表面改質 ・即時負荷・早期負荷においては特にインプラント体と骨との早期のオッセオインテグレーション獲得が不可欠であるため,インプラント表面の汚染物を可能な限り減少させるよう,洗浄法を開発し,現在市販のインプラント体との比較により,表面のタンパク質等の汚染が著しく少ないことが明らかとなった。 ・さらに,インプラント体表面へ骨接着ペプチドを付着させることにより,in vitroでの骨芽細胞様細胞の接着が早まることが示された。 2.ビーグル犬を用いた即時負荷・早期負荷実験 ・3種類の異なる表面性状を持つチタン製スクリューインプラント((1)機械研磨,(2)陽極酸化処理,(3)ブラスト・エッチング処理)の表面を骨接着性の高いペプチドにて処理を行い,無歯顎部位に3種のインプラントを1本ずつ,左右側で計6本埋入した。この際,3種のインプラントの埋入部位は可及的に異なるよう考慮し,15頭に埋入した。埋入後,即時,1週後,3週後,6週後および12週後に,インプラントには金銀パラジウム合金製の上部構造を,対合する上顎小臼歯部に同合金製の咬合平面板をそれぞれ装着して上部構造に点接触を与えた。加えて,固形飼料による飼育を行うことでインプラントに機能的負荷をかけた。負荷開始後,週5回の口腔清掃を継続し,負荷後12週まで毎週GI値,PI値,ペリオテスト値の臨床的評価と口腔内X線撮影法による放射線学的評価を継続中である。
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