研究概要 |
本研究では「表面性状の異なるインプラント」と「異なる骨質」に最適な負荷時期を決定し,即時負荷・早期負荷が成功するためのガイドラインを確立することを目的として,前年度平成16年度には,インプラントの表面改質を目的とした,タンパク質導入について検討を行い,成長因子等を表面へ接着させる手技的な確認を行った後,3種類の表面性状の異なるインプランすなわち(1)機械研磨処理(2)陽極酸化処理(3)ブラストエッチング処理のインプラントを,あらかじめ口内法X線写真とCT撮影を行って,骨質の評価を行った動物の下顎無歯顎部に埋入し,即時もしくは早期に負荷を開始した。本年度は継続して,まず,負荷期間終了後に動物を屠殺してインプラントを含む骨ブロックを採取して,非脱灰研磨標本を作成,組織学的ならびに組織形体計測学的に検索した。骨質評価では骨質の不良な部位がなく,骨質の違いに対する検討は不能であったが,表面性状の違いによる計測では,骨接触率においては陽極酸化処理インプラントが他のインプラントと比べ高い値となったのに対し,インプラントスレッドの中への骨浸入を表す骨面咳率ではブラストエッチング処理インプラントが最も高い値を示した。また,負荷開始時期についてはインプラント埋入1週後に負荷を開始した群で周囲骨の吸収が大きかった。さらに,骨接触率,骨面積率ともにインプラント埋入3週後から負荷を開始した群で高い数値を示した。これらのことから即時負荷もしくは早期負荷を考えた場合には表面が粗造なインプラントの方が有利であり,これらのインプラントを用いればこれまでのプロトコルであった,下顎で3カ月,上顎で6カ月といわれていた安静期間はもっと,短縮することが可能であり,インプラント治療全体の治療期間短縮に関する有益な示唆を得ることができた。
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