研究概要 |
一連の研究で改良を進めてきた携帯型EMGバイオフィードバック装置の臨床応用と,さらなる装置の小型化を目指し無線化へ向けた概究を推進し,装置の臨床応用に向けたバイオフィードバック訓練を行った.日中のクレンチングを自覚し,咀嚼筋痛を訴えるクレンチング習癖者6名(男性3名,女性3名,平均年齢31.2±4.8歳)を被験者とした.記録およびBFには当講座で開発した携帯型BF装置を使用した.記録は昼食を挟む5時間の記録を連続する4日間行った。1日目はBF時の閾値設定をするためベースラインデータを記録,2日目および3日目に電子音を用いた聴覚BFを行った.4日目に再度筋電図の記録を行い,クレンチングイベント数の変化を観察Lた.その結果,1日目と比較して日目において,6名中5名にイベント数の減少が認められた(減少率40〜100%).そのうち4名は強く短いクレンチングから弱く長いクレンチングになるなど,クレンチングの様相に変化が認められた.本研究結果から,咀嚼筋痛を伴うクレンチング患者に対してBFの効果が認められた.また,効果的なBFを行っていくためには,BFによって生じるクレンチングの変化に対応した閾値設定が必要であると考えられた. 一方,無線装置の開発に関しては,複数基板で構成されていた無線ユニットの1枚基板化を目標にした.送信ユニットでは差動計測アンプを実装し,受信ユニットでは出力レベル調整を行いバイオフィードバックレコーダーへの接続(LEMO社のコネクタより信号注入)を行った。送信ユニットと受信ユニットを通して限定された環境下ではあるが,ハードウエアの動作確認を行った.今後の課題として,有線伝送と無線伝送の測定精度検証,電極と送信ユニットの一体化,小型化が挙げられた.
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