研究課題
基盤研究(B)
平成16年度には、歯科医学的・医学的疾患の既往や現病歴のない被験者において習慣性かみしめといえる非機能的な咀嚼筋活動の同定方法を確立した。実験では筋電図(咬筋、舌骨上筋、前脛骨筋)、喉頭運動、胸郭呼吸運動、嚥下音の記録とビデオ撮影を黙読下で行った。生体信号記録とビデオ記録を併用して、顎口腔領域に生じた運動や行動を次のように同定した。姿勢変化や手足の動きもビデオと前脛骨筋筋電図活動を用いて判定した。さらに、上記の口腔運動と関連がない咬筋活動が観察されたため、これを非機能的咬筋活動とした。非機能的咬筋活動の約70%が体動中および体動前後10秒以内に発生したが、非機能的咬筋活動と体動の発生数に相関はなかった。以上、多数の生態信号記録を用いることで、1)口腔運動の同定法を確立したこと、2)それによって非機能的な咀嚼筋活動が同定することが可能となった。平成17年度では、習慣性かみしめを自覚する被験者(かみしめ群)と自覚しない被験者(対象群)において以下のデータを収集した。問診や質問表を用いて特性不安尺度、神経質的傾向、顎顔面の痛みおよび疲労感などを記録した。また、生理学的記録の前後に唾液も採取した。対照群とかみしめ群を比較すると、特性不安尺度、神経質的傾向、顎顔面の痛みには差がなかったが、顎顔面の疲労感はかみしめ群が有意に高い値を示した。さらに、黙読中の安静時唾液分泌量、嚥下、口腔運動、口唇運動の発生数に差が認められなかったが、非機能的咬筋活動の発生数はかみしめ群で有意に高かった。また、かみしめ群では非機能的咬筋バースト数が有意に高かった。非機能的咬筋バースト数が20回をカットオフ値とするとかみしめ群の80%、対照群の70%を判別することが可能であることがわかった。以上から、非機能的咬筋活動の発生数をカットオフ値として用いた臨床評価法を開発する可能性が示唆された。
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