研究課題/領域番号 |
16390584
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
各務 秀明 名古屋大学, 医学部, 助教授 (80242866)
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研究分担者 |
上田 実 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00151803)
岡田 邦彦 名古屋大学, 医学部, 助手 (20345911)
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キーワード | 唾液腺 / 再生 / 細胞培養 / 組織工学 / 遺伝子解析 / DNAマイクロアレイ / 細胞療法 / ディファレンシャルディスプレイ |
研究概要 |
組織工学的手法を用いた組織再生のなかで、腺組織に代表される実質臓器の再生はいまだ困難である。特に腺房部から導管系に至る複雑な構造を、培養上皮細胞と担体の組み合わせのみで再現することは現在までのところ不可能である。本研究期間中の第1の目的として、3次元培養およびin vivoの移植モデルを用いて、唾液腺上皮-間葉細胞の相互作用による腺組織再生の可能性を検証することである。次に、唾液腺組織の再生過程で発現する遺伝子を解析し、候補遺伝子を明らかにするとともに、可能性のある遺伝子について絞り込みを行うことである.始めに、上皮-間葉相互作用再構築の可能性について、幼若マウス由来唾液腺組織を用いた組織工学的研究を行った.出生後1週間以内の唾液腺未完成期のマウス顎下腺細胞を用いて上皮系、間葉系細胞を分離し、担体に播種した後ヌードマウス皮下に移植した。担体としては、コラーゲンゲルおよび多孔質のβ-TCPを用いた.得られた組織では、間葉系細胞および上皮系細胞の生存を確認することが可能であった.しかしながら間葉系細胞と比較して上皮系細胞の残存は僅かであり、移植したインプラントの周辺部に局在していた.上皮系細胞はクラスターを形成するものの、腺房様の構造は認められなかった.一方、再生過程で発現する遺伝子の絞込みを行った.比較的安定したデータが得られたDNA microarrayの結果から、唾液腺の再生過程で最も高頻度で発現が見られた遺伝子としてclusterinに着目した.clusterinは様々な臓器で発現が確認されているが、再生過程の膵臓中での発現が知られている.ラット唾液腺の導管を結紮後1週間にて、唾液腺の萎縮が引き起こされる.この導管結紮を解除し、12時間、24時間および36時間後の腺組織を摘出して、抗clusterin抗体を用いて免疫染色を行った.Clusterinは清浄組織では腺房の細胞質に分布し、萎縮唾液腺では萎縮した腺房の管腔側に強発現していた.この発現は、再生過程の進行とともに消失する傾向であった.
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