研究課題/領域番号 |
16390589
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
加藤 逸郎 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (60314390)
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研究分担者 |
中澤 光博 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (70217701)
由良 義明 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (00136277)
櫻井 良憲 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (20273534)
古林 徹 京都大学, 原子炉実験所, 助教授 (90089136)
小野 公二 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (90122407)
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キーワード | 口腔扁平上皮癌 / BNCT / BPA / BSH |
研究概要 |
ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)は、予め投与したホウ素化合物が腫瘍内に集積する性質を利用し、^<10>Bを取り込んだ腫瘍に中性子線照射した時に発生するα線及び^7Li粒子線で腫瘍を選択的に破壊する治療法である。当科では、BNCTを世界に先駆けて頭頸部悪性腫瘍に適応した。BNCTの抗腫瘍効果のメカニズムを明らかにする目的で、ヒト由来口腔癌細胞の細胞周期に及ぼす影響を検討した。 その結果、(1)培養SAS細胞にガンマ線照射と中性子照射を行なった結果から細胞生存曲線を求めた。(2)BNCTでは、Rb蛋白とRbリン酸化、p21が一過性に増加し、その後低下してG1アレストをきたし、カスパーゼが活性化されてアポトーシスが誘導された。(3)BNCTではcdc2リン酸化によりG2アレストをきたすが、これがアポトーシスに移行することはなかった。(4)γ線照射ではRbリン酸化を生じ、続いてG2アレストを誘導するcdc2のリン酸化がみられ、その後アポトーシスを生ずると考えられた。 BNCTによる腫瘍増殖の抑制には、BNCT後早期に生ずるアポトーシスと後期のG2アレストが重要な役割を果たすと考えられた。 BNCTは、48h以内の増殖は抑制せず、1週間後のコロニー形成能は著しく抑制した。細胞周期とその関連タンパクの解析で、G1期とG2期細胞の増加、p53リン酸化、p21発現、Weel発現、cyclinB1発現、cdc2リン酸化を認めた。BNCT後のヌードマウス移植腫瘍からアポトーシス細胞を検出した。 以上より、BNCTはG1期停止に続くアポトーシスとG2期停止を誘導することが明らかになった。この特性を生かし今後の治療効果の向上に繋げたい。
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