研究概要 |
HPV16および18型のDNAコピー数を比較定量するために,本年度の研究費で購入した核酸増幅リアルタイムモニタリング装置を用いた。なお,PCR用のプライマーは,Takara PCR Human Papillomavirus Detection Kitを用いた。また,サンプルとして,新鮮凍結組織,ホルマリン固定パラフィン包埋切片,口腔粘膜のswab sampleを用い,まず,同一患者でHPV16および18型のDNAコピー数を検索した。HPV16型では,腫瘍の新鮮凍結組織とswab sampleでのDNAコピー数は10^<-5>オーダー,パラフィン包埋切片では10^<-7>オーダーであった。HPV18型では,腫瘍の新鮮凍結組織とswab sampleでのDNAコピー数は10^<-4>〜10^<-5>オーダー,パラフィン包埋切片では10^<-6>オーダーであった。同一患者の腫瘍,腫瘍辺縁,正常部におけるHPV16型のDNAコピー数は,各々10^<-5>オーダー,10^<-6>オーダー,10^<-7>オーダーであった。同様に,HPV18型のDNAコピー数は,10^<-5>オーダー,10^<-6>オーダー,10^<-6>オーダーであった。 扁平上皮癌摘出後1年以上経過し,腫瘍が認められない患者のswab sample中のHPV16型のDNAコピー数は,10^<-7>〜10^<-8>のオーダーであり,明らかな口腔疾患が認められない健常者では10^<-6>オーダー〜10^<-7>のオーダーであった。一方,HPV18型のDNAコピー数は,前者では,10^<-7>〜10^<-8>オーダーであり,後者では,10^<-6>〜10^<-7>オーダーであった。扁平上皮癌の再発を繰り返す1人の患者におけるHPV18型のDNAコピー数は10^<-6>オーダーと高値を示した。腫瘍が認められない患者におけるHPV16および18型のDNAコピー数の高値が扁平上皮癌の発生と相関するか否かについて,今後症例を増やして検討する予定である。
|