顎病変の手術後に伴う付着歯肉の喪失は術後の補綴処置やインプラントの治療を困難にする。このことが術後の機能回復、審美回復に大きな影響を及ぼすのは明らかである。付着歯肉よりoutgrowthした線維芽細胞を可動性非角化粘膜組織内へ自家移植することにより、喪失した付着歯肉が誘導されれば、口腔外科術後の審美、機能回復に大きく寄与するであろう。予備実験として、ラット口蓋粘膜を採取し、これをoutgrowthし、角化歯肉由来の培養線維芽細胞とした。これを同一固体のラット下顎遊離歯肉(非角化)組織下にinjectし、検討を行ったところ非角化組織の角化が認められた。これをふまえて、ラットの角化歯肉より培養線維芽細胞を獲得し、非角化遊離歯肉組織下へinjectしたところ角化するものとしないものと認められた。確実に付着歯肉のみの採取であったか疑わしいため、顕微鏡下での組織採取を行い、現在培養細胞の確立中である。移植した細胞動態を調べるために、採取した培養線維芽細胞にGFP遺伝子をtransfectしている。また移植細胞と既存の組織間における情報交換の検討のため、Hsp47、EGFなど様々な因子の発現を検討している。
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