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2006 年度 実績報告書

頭頸部悪性腫瘍の増殖・浸潤抑制による効果的治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 16390598
研究機関明海大学

研究代表者

福田 正勝  明海大学, 歯学部, 講師 (10311614)

研究分担者 草間 薫  明海大学, 歯学部, 教授 (20130479)
坂下 英明  明海大学, 歯学部, 教授 (10178551)
キーワード頭頚部悪性腫瘍 / CYLD / NF-κB / 遺伝子変異 / NCAM / アポトーシス / 神経周囲性浸潤 / 腺様嚢胞癌
研究概要

(1)頭頸部領域に発生した17例の腺様嚢胞癌患者の生検材料においてNCAMの発現を免疫組織化学的に検索したところ,12例(70.6%)の癌細胞にNCAMに対する陽性所見を認めた.NCAMは腫瘍細胞の細胞膜に陽性反応を示し,腺様嚢胞癌組織中の篩状構造および管腔様構造において散在性,あるいは集簇性に陽性細胞が認められ,特に神経周囲性浸潤した腫瘍細胞に陽性所見を認めた.その発現頻度と臨床病理学的因子との相関関係は特に認められなかったが,腺様嚢胞癌におけるNCAMの発現は高頻度であり,腫瘍の進展に大きく関与していることが示唆された.
(2)唾液腺腫瘍細胞株HSGから自発的なNF-κBおよびCYLD遺伝子・蛋白発現を認めた.HSG細胞にTNF-αを作用させた際,NF-κBとCYLD発現の増強を認めた.そこにcimetidineを作用させた際,NF.κBの活性抑制を認めたが、CYLDに変化はなかった,またNCAMの発現量も減少した.ルシフェラーゼレポーターアッセイにおいてNF-κBの活性動態は,TNF-α刺激後4時間で最大となり,cimetidineの作用で減少した.(3)ヒト正常神経細胞とHSG細胞を共培養したところ,共焦点レーザー顕微鏡にて高率に接着していることが確認できた.さらにHSG細胞に10^<-4>Mのcimetidineを直接作用させた上でヒト正常神経細胞と共培養したところ,HSG細胞の神経細胞への接着阻害効果を認めた.
(3)ヒト正常神経細胞とHSG細胞を共培養したところ,共焦点レーザー顕微鏡にて高率に接着していることが確認できた.さらにHSG細胞に10^<-4>Mのcimetidineを直接作用させた上でヒト正常神経細胞と共培養したところ,HSG細胞の神経細胞への接着阻害効果を認めた.
(4)ヌードマウスにHSG細胞を播種・腫瘍形成し,10^<-4>Mのcimetidineにより,腫瘍組織の縮小を認めた.
(5)17例の腺様嚢胞癌患者の生検材料においてCYLDおよびNF-κB関連因子の発現を免疫組織化学的に検索したところ,CYLDは10例(58.8%)に,NF-κBは12例(70.6%)に,IκBαは13例(76.5%)に,IKKaは14例(82.4%)に,IKKβは4例(23.5%)においてそれぞれ発現を認めた.CYLDの発現が検出されなかった症例においては、CYLD遺伝子に何らかの変異が起こった可能性を示唆している.現在まで10例の腺様嚢胞癌症例についてCYLDの全20exonの遺伝子変異の検索を終えているが変異は認められなかった.以上の結果から,NCAMを発現している腫瘍においてcimetidineの作用によりNF-κBの活性抑制,NCAMの発現低下が起こり,腫瘍死を誘導することが示唆された.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (4件)

  • [雑誌論文] Cimetidine induces apoptosis of human salivary gland tumor cells2007

    • 著者名/発表者名
      Fukuda M
    • 雑誌名

      Oncol Rep 17(3)

      ページ: 673-678

  • [雑誌論文] Expression of CYLD, NF-κB and NF-κB-related factors in salivary gland tumors.2006

    • 著者名/発表者名
      Fukuda M
    • 雑誌名

      IN VIVO 20(4)

      ページ: 1143-1149

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] The expression of CYLD and NF-κB-related factors in salivary gland tumors.2006

    • 著者名/発表者名
      Fukuda M
    • 雑誌名

      Hospital Dentistry&Oral-Maxillofacial Surgery 18(2)

      ページ: 19-23

  • [雑誌論文] Patient with multiple primary carcinomas including 4 separate oral cancers : Study of p53 mutations and their implications for management2006

    • 著者名/発表者名
      Fukuda M
    • 雑誌名

      J Oral Maxillofac Surg 64

      ページ: 1672-1679

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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