研究概要 |
fMRI研究の予備実験として、両唇音/pa/を構音課題として発生させた際の大脳皮質一次感覚運動野の賦活パタンを成人の術後口唇口蓋裂患者(CLP群)および健常成人(対照群)において比較し、以下の結果を得た。 1)CLP群ならびに対照群において両側の大脳皮質一次感覚運動野の賦活が認められた。 2)片側性CLP患者においては、裂と同側の大脳皮質一次感覚運動野の賦活が対側より強く認められた。一方、両側性CLP患者においては、口唇形成術を先行して行った側と対側の大脳皮質一次感覚運動野の賦活がより強く認められた。 3)CLP群では、対照群と比較して個人差が大きく、広範囲に賦活が認められた。以上のfMRI研究の一部は、Distinctive cortical articulatory representation in cleft lip and palate : a preliminary functional magnetic resonance imaging studyというタイトルでCleft Palate Craniofacial Journalに現在投稿中である。 MRI映画に関しては、繰り返し時間(TR)を30msから100msまで変化させて撮像シーケンスの最適条件を検討した。その結果、画像の鮮明度と被験者への負荷などの諸条件を考慮した結果、本研究の目的には30msが最適であると考えられた。現在、/pa/,/ta/,/ka/および/sa/発音時の口腔咽頭・咬頭領域の構造物の時間的・空間的形状変化パタンに関するデータを成人の術後口唇口蓋裂患者ならびに健常成人において採得中である。
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