研究課題/領域番号 |
16390607
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中島 昭彦 九州大学, 大学院歯学研究院, 教授 (00037524)
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研究分担者 |
青木 義満 芝浦工業大学, 工学部, 助教授 (00318792)
上原 美智也 九州大学, 大学病院, 医員 (50380423)
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キーワード | 顎運動 / コンピュータグラフィックス / 遠隔診断 / 三次元構築 / 表情解析 |
研究概要 |
本研究は顎顔面形態を三次元で表示し、機能測定値に基づいて動かす形態と機能の三次元可視化システムを構築するとともに、これをインターネットを通して遠隔診断に応用することを目的として開始した。 個人の三次元頭部画像は2つの方法によって構築した。1つは従来から用いられている頭部3次元CT(Computed Tomography)画像であり、もう一つは研究代表者らが新しく開発したもので、正側の頭部X線規格写真(Cephalogram)、顔面写真、歯列模型から構築した三次元個人頭部モデルである。これらの頭部立体画像の顎運動シミュレーションにはモーションキャプチャリング法を用いた。下顎骨の動きは顎顔面骨格上および歯列上に設定した任意の解剖学的特徴点の運動軌跡とともに、歯科医や患者に分かり易い動画として表示することを可能にした。平成18年度には、上記の顎運動の可視化システムについての研究成果を学会および論文として、また大学院生の博士号テーシス論文として発表した。 いっぽう顔を他への情報伝達器官として考えるとき、スマイルや発語時における顔表面の動きは顔の重要な機能を担っていると考えられる。そこでこれまでの顎運動解析に加えて、顔表面の動きを三次元的に解析する方法とそのシミュレーションに関する研究を18年度に実施した。歯列上に前歯咬合の異常を模倣するアタッチメントを装着して発語動作がどのように変化するかについてモデル実験をしたところ、前歯のかみ合わせの異常は口唇の発語による動きを歪ませていることが素札された。また外科矯正手術が必要だと診断された患者を対象にスマイル動作を調べたところ、正常者と比べて下口唇の動きが大きく、上口唇や口角の動きが小さいなど、スマイルの様相が異なっていることが分かった。これらの研究結果から、かみ合わせや顎の大きさ、位置の異常は顔の情報伝達の機能を阻害している可能性が示唆された。研究結果は日本矯正歯科学会誌に発表および投稿中である。遠隔診断への臨床応用については、現在開発中の顎顔面計測点の自動認識プログラムが完成すれば実施できる状況にある。
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