研究概要 |
牛の下顎前歯から歯根膜を完全に除去した後、ダイヤモンドディスクを用いて4×4×1mmの象牙質の試験片を作製した。試験片を24%EDTA、50mg/ml、200mg/ml塩酸テトラサイクリンに浸漬後、0、5、10μg/mlに調整したrhBMP-2を塗布し、自然乾燥させた。ラットから歯根膜由来の細胞をout-growth法により培養増殖させ、rhBMP-2溶液に浸漬した各試験片上に、播種、1,3,5日間培養を行った。その後、試験片に付着した細胞の(1)アルカリフォスファターゼ(ALP)活性、(2)総タンパク量を計測した。 その結果、EDTAで処理した場合はBMP-2濃度が上昇するとALP活性が上昇した。50mg/ml塩酸テトラサイクリンでは5μg/mlのrhBMP-2を塗布した場合が最もALP活性が高かった。200mg/ml塩酸テトラサイクリンではBMP-2を塗布してもALP活性の上昇は見られなかった。以上の結果より、根面を処理する脱灰液の違いにより、塗布するBMP-2の適切な濃度が異なり、付着した細胞の石灰化能の向上に及ぼす影響も異なる可能性が示唆された。 また、上記と同様の方法でラット歯根から歯根膜とセメント質を完全に除去した象牙質片を作製し、EDTAおよび塩酸テトラサイクリンで象牙質片表面を脱灰してBMP-2を付着させた。この象牙質片をラット上顎口蓋歯肉結合組織内に移植を行い、現在、標本を作製して組織学的評価を進めている。さらにビーグル犬のP1〜P3頬側根面に裂開状の歯周組織欠損を作製し、EDTA脱灰した根面にBMP-2を塗布するとともに、アテロコラーゲンゲルで根面を被覆する手術を行っており、今後、組織学的な評価を進めていく予定である。
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