研究概要 |
牛の下顎前歯から歯根膜を完全に除去した後、ダイヤモンドディスクを用いて4×4×1mmの象牙質の試験片を作製した。試験片をEDTA(pH7.0)、塩酸テトラサイクリン(pH2.0)、クエン酸(pH1.0)で3分間脱灰後、0、5、10μg/mlのrhBMP-2に10分間浸漬した。さらに、ラットから歯根膜由来の細胞をout-growth法により培養増殖させ、rhBMP-2に浸漬した試験片上に歯根膜細胞を播種、培養し、1,3,5日後にALP活性を測定した。その結果、rhBMP-2が10μg/mlの場合にEDTA群のALP活性が他の2群と比較して有意に高かった。 ラット切歯から作製した象牙質片を、同様にEDTA、塩酸テトラサイクリン、クエン酸、PBSに3分間浸漬後洗浄乾燥して、0、10、400μg/mlのrhBMP-2に10分間浸漬、ラット口蓋粘膜下に移植した。移植後2、4週で脱灰薄切標本を作製して象牙質片上に形成された硬組織の形成率と、象牙質の吸収率を計測した。その結果、硬組織形成率はrhBMP-2濃度が100μg/mlの場合にEDTA群が他の3群と比較して有意に高く、象牙質吸収率はrhBMP-2が400μg/mlの場合にテトラサイクリン群が他の3群に比べて有意に高かった。 以上の結果から、象牙質面にrhBMP-2を塗布する前の脱灰液の違いにより、象牙質表面への硬組織形成や象牙質吸収の活性が異なることが明らかとなり、今回選択した脱灰液の中ではEDTAが最適であった。 さらにビーグル犬のP1〜P3頬側根面に裂開状の歯周組織欠損を作製し、EDTA脱灰した根面にBMP-2を塗布するとともに、アテロコラーゲンゲルで根面を被覆する手術を行っており、現在、組織学的な評価を進めている。
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