研究課題/領域番号 |
16390612
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
吉江 弘正 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (20143787)
|
研究分担者 |
成田 一衛 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (20272817)
小林 哲夫 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教授 (00215344)
黒田 毅 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (00372475)
田井 秀明 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (30272826)
|
キーワード | 歯周炎 / リスク診断 / 遺伝子多型 / カスタムメード療法 / 特異的抗体療法 / FcγR / FcαR / IL-6R |
研究概要 |
有力な歯周炎リスク診断マーカーと考えられる、免疫グロブリンFc部に対する受容体およびサイトカイン受容体の遺伝子多型を検索し、歯周炎との関連性を解析した。 まず、白人喫煙者においてはFcγRIIa-H/H遺伝子型が慢性歯周炎の感受性および重症度に関連することを示した。 また、IgAに対する受容体FcαRIの遺伝子を検索し、リガンド結合ドメインをコードする塩基配列においてnt 324A/Gという新たな遺伝子多型を発見した。日本人侵襲性歯周炎患者ではnt324 Aアレル保有者の割合が健常者よりも高かった(オッズ比2.54)。さらに、nt324A/Aの患者から採取した好中球は、nt324G/Gの患者に比較してPorphyromonas gingivalisの貪食能が低かった。 一方、最近発見されたIL-6R遺伝子多型は血清中の可溶性IL-6Rレベルに影響することが示唆されている。健常者においてその機能を検証したところ、プロテアーゼによる切断位置をコードする48892A/C遺伝子多型と可溶性IL-6Rレベルの間に強い関連が認められた(P<0.0001)。 次いで上記の研究成果を歯周炎のカスタムメード療法に結びつける研究を行った。歯肉溝滲出液中の好中球ではIgGの受容体が減少し、FcαRIが増加していた。そこでPorphyromonas gingivalisのヘマグルチニン分子とFcαRIの双方に特異的なヒト型二極特異抗体を、ヒト免疫グロブリン産生マウスにて作製したところ、単なる抗Porphyromonas gingivalisヘマグルチニン抗体に比較して歯肉溝滲出液中の好中球の貪食能および殺菌能を高めることができた。この結果より、ハイリスク患者の好中球に対し、ヒト型二極特異抗体を局所投与することで機能を高められる可能性が示唆された。
|